ほりすてぃっくうぃずだむ

アーカイブだったりレポートだったり駄文だったり思ったことをなんでもてきとーに書く

京アニの例のあれのお話し。

たまには他人の企画にのっかってみたいときもあるのです。

初めまして(でいいのか?)いすかと申します。
普段から、ちょっとした習慣により、あるワードで検索をしているのですが、その中であさいさんという方のキディ・ガーランドへの言及を拝見しまして、企画を知った、という流れでございます。

asaist.seesaa.net

adventar.org

実のところ、自分にとってもキディ・ガーランドはまさに「世間の評判はそんなでもないけど、好き」な作品でして、それを通して企画を拝見して、「これは乗っかりたい」ということで、参加させていただくことにしました。
ちなみに、自分からキディ・ガーランドについて補足させていただくとするならば、「後半はシリアスが入ってきて(やや展開は乱暴ながらも)ストーリーが締まるのでいいですよ」ということと、「音楽がいいよ」ということでしょうか。特に後者は、OP、EDテーマやキャラクターソングを指しますが、どれもなかなかに良曲です。若本御大が歌われていることについてはあさいさんも言及されていらっしゃいますが、他にもキャラクターソングVol.6では飛田展男さんが歌い、中井和哉さんが渋く語りを重ねるというモノになっていたりと最高です。
本編の盤と同様、もはや入手は困難ですが、現在ではアニソン効き放題サービス「ANiUTa」で全曲配信されていますので、ぜひ(「キディ・ガーランド」で検索すれば全曲ヒットします)。いやあ、いい時代になりました。

さて、前置きはこれくらいにして、本編を始めましょう。

私からお話しするのは、「京都アニメーションの例のあれ」、MUNTOシリーズについてです。ここでは、TVアニメーション版である「空を見上げる少女の瞳に映る世界」とその劇場版(ディレクターズカット版)「天上人とアクト人 最後の戦い」を取り上げます。
この作品は、もともと京都アニメーションOVAとして、2003年、2005年にリリースされたものを、それぞれTVアニメ版の1~3話、4~6話に割り当て、2009年に7~9話を新規アニメーションとして追加したうえで、完結させたものです。劇場版は、このうち7~9話にさらに新規カットや補足となるようなシーンを追加し、ディレクターズカット版として、池袋と京都の2館で劇場公開したものになります。
現在でも京都アニメーション取締役である木上益治氏が監督や脚本などの演出面を一手に負い、「京アニ初の完全オリジナル作品」として 制作された経緯があります。もともとは「作画技術のサンドボックス」的な立ち位置の作品であるのですが、作画や演出、動画のクオリティといった部分では、まさに「京アニの面目躍如」と思えるようなものになっているのではないかと思います。
ストーリーとしては、地上に住む少女「日高ユメミ(CV.相沢舞)」と、「アクト(いわゆる"マナ"のようなもの)が満ちた別世界(天上界)」に住む「ムント(CV.小野大輔)」とが出会い、崩壊の危機に瀕する天上界を救う、というもので、路線としてはかなり王道のファンタジーものとなっています。

ただ、問題点として、OVA1, 2巻の2年間のブランク、そこからTVアニメ版までの実に4年のブランクや、全9話という絶対的な作品の短さにより、「登場人物のキャラブレ(急な変遷)」「設定の説明・描写不足」「ストーリーの超展開」が多かったと感じられてしまうということは否めません。これらの設定やストーリー展開はいずれも説明などはあるものの、ストーリー描写の中で提示される、というよりは、登場人物の「説明セリフ」によって提示される、というようなことも多く、さらっと流されて終わってしまったりするために、観る側の理解や整理がおこなわれるまえに次の展開に移ってしまったりということもありました。設定についても「アクト」というものが「まるで万能」というような描写になってしまっているがゆえに、「かなり都合のよさげなもの」と思われ、実際に「中二病設定」というような声も聞かれていました。
こういったことがあって、残念なことに結果として評価を得ることはできなかった、というところです*1。 もちろん、そのおかげでこの企画で紹介できるわけですが...。

さて、そんな「空を見上げる少女の瞳に映る世界」ですが、この作品によってかよらずか(いすか個人は「よって」だと思っていますが)、京都アニメーションである企画が立ち上がることになります。
京都アニメーション大賞KAエスマ文庫の創立です。

MUNTO」シリーズが着地した後、京都アニメーションのオリジナルコンテンツの創出として、積極的に外部からのリソースを取り入れるようになります。そうして制作されたのが、「中二病でも恋がしたい!」「境界の彼方」をはじめとした作品群です*2
ストーリー的にも、またもちろん描写としても、これらの作品の出来は上々であって*3、作品構成について外部リソース(新人)を適切に取り込めたという点では成功と言えるでしょう。その創立の礎となっているのが「MUNTO」「空を見上げる少女の瞳に映る世界」なのだ、ということは主張しておきたい*4ですし、(作品が好きなものとしては)知ってほしいなあ、と思うのです。

作品の「意義」について主に述べましたが、「ストーリーについては問題があった」とも述べており、このままでは「作品そのものはそんなでもないのでは…」と思われてしまうかも知れません(というか、思われているからこそこの企画で紹介しているわけですが)。
が、冒頭でも少し言及した通り、「作画や演出、動画のクオリティ」については、やはり素晴らしいと思います。「魔法的なものの存在する王道ファンタジー」であるが故、バトルシーンなどもありますが、天上界での(ムントの)敵役である「グリドリ(CV.白石稔)」や「群タール(CV.若本規夫)」との戦闘は特に盛り上がりのあるシーンでもありますし、丁寧だわ奇麗だわでかなり好きなシーンでもあります*5
また、ユメミの暮らす地上界は、いわゆるところの「普通の一般世界」でもあり、「天上界での戦闘」を「非日常パート」と位置付けるなら、こちらは要は「日常パート」であるわけですが、こちらもやはり描写としては丁寧です。OP/EDもさすがのクオリティであり、本編の雰囲気も相まって、個人的にはかなり好きな部類に入ります。
ストーリー展開についても、確かに評価が分かれる(されないことのほうが残念ながら多い)部分ではありますが、とはいえ致命傷となるような穴や矛盾などはありません。設定や世界観やキャラクターなどは魅力的な点も多いですし、もし「あームントね、京アニ黒歴史の」といったような認識のみでスルーされてしまうには惜しいと思いますし、また残念でもあります*6

来年はちょうど放映から10年です。
もし「京アニ作品の系譜」というものにご興味おありなら、一度観てみてよい作品だと思いますので、どこかの機会にいかがでしょうか。

以下完全に余談。
何人かCVを記載していますが、特に冒頭で述べたあさいさんのキディ・ガーランドの記事をご覧になられた方なら特に、ピンとくるものがあったかも知れません。この作品は、割と、というかかなり、キディ・ガーランドとキャスティングが被っています*7
というのも、この時期の、ある特定のアニメは、結構キャスティング被ってるんですよ。系譜的には、
涼宮ハルヒの憂鬱らき☆すた喰霊-零-空を見上げる少女の瞳に映る世界キディ・ガーランド(ここまで2006~2009くらい)
→日常→未来日記(ここまでで2011年)
となります。ハルヒらき☆すたは言わずもがなかとは思いますが、他の作品も面白いので、ぜひ*8

*1:一時期公式サイトさえ消えてしまっていたことがあります。現在では(当時のサイトではない、簡易のものではあるものの)作品のページが復帰しています。

*2:原作なしの完全オリジナルとしては「たまこまーけっと」がありますが、製作スタッフとしてはオール京アニ、というわけではありません。

*3:中二恋のほうが一般的には評判良いんですかね、個人的に境界の彼方かなり好きなんですが。

*4:MUNTOで失敗した」というよりは、おそらく、「自前で何らかのオリジナル作品を確立し、そのアニメ化ということで企画化したほうがOVAよりやりやすいと判断された」が正しいのかな、と思っています。OVAも既に下火だと思いますしね。

*5:このあたりの技法は、「中二病でも恋がしたい」や「境界の彼方」でもしっかり継承されていると思います(だからこの2作品を引き合いに出したんですけどね)。

*6:とはいえ、積極的にお勧めできるかというと、まあそれはしないのですが^^

*7:キディ・ガーランドで主役の内田彩さんは本作がレギュラー役デビュー作です。ド新人時代ですね。そして、この作品のラジオ番組「空上げ(からあげ)ラジオ」がラジオパーソナリティデビューでもあります。もし彼女に関連して「エッセンシャル」という単語がでてきたら、この番組のことで間違いありません。また、この作品で主役を務めた相沢舞さんや、その親友役である堀川千華さん、今野宏美さんも、キディ・ガーランドに出演されています。

*8:日常とか賛否両論ありましたけどね…。「京アニの例のあれ」という単語から日常を想起した方もいるかも知れません。そちらも機会あれば書きたいものです。